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BLOOMING EASTインタビューリサーチ「SOWING EAST」
<第1回>Yazid Aufaさん

 東東京で暮らす外国人の方にお話をうかがう新企画「SOWING EAST」。記念すべき第1回は、東京生まれ東京育ちのインドネシア人、ヤジッド・アウファさんです。インドネシア人のご両親の元、小学校から大学まで日本の学校に通いました。
 イスラム教徒のアウファさんは、日本でイスラム教に対するイメージが定着していない中、ムスリム*1スタイルを自分らしく着こなし、発信するプロジェクト「Aufa TOKYO」を開始。現在インスタグラムのフォロワーは1万人以上と、多くの支持を集めています。そのおしゃれなスタイルは、ノンムスリムの人たちも憧れるほど素敵です。
 今回のインタビューでは、ご家族のことやヒジャブ*2を身につけはじめてから感じたこと、そして「Aufa TOKYO」として活動されている理由、今後の夢など、さまざまなお話をお聞きしました。美しく芯があり、かつユーモアたっぷりなインドネシア人の隣人アウファさんから、自分の環境を受け入れポジティブに生きる術を学べるはずです。

*1 イスラム教信者のこと。アラビア語で「(神)に帰依した者」という意味。
*2 イスラム教徒の女性が頭を覆う布のこと。

文=吉澤弥重子(ひらがなネット株式会社
写真=Mao Yamamoto

家族はとても仲が良いです。

 両親は日本で出会いました。父は仕事で、母はファッションを学ぶ留学生としてそれぞれ来日しました。その後出会い、30年前に結婚。1980年代の日本は、ムスリムどころか外国人もめずらしいころだったと思います。父は今も会社員です。母は子育てが終わったころにインドネシア語の教師になりました。
 兄妹は3人で、姉と兄、そして私です。姉は日本で知り合ったインドネシア人と結婚し、実家から徒歩30秒のところに住んでいます。お嫁に行ったというより家族が増えたかんじです。兄はフローリストで、結婚式の花束を作ったり、ワークショップをしたり、講師をしています。
 家族の仲はとてもよく、今度家族旅行で熱海に行き、のんびり、カラオケでもしようと思っています。インドネシアの人は、大家族で動くことが多く、親戚も交えて大勢で、時にはマイクロバスを貸し切って行くこともあります。

家の食事はインドネシア料理とは限りません。

 母は料理が好きで、わが家のメインはインドネシア料理です。よく知られているメニューにナシゴレンがありますが、ココナッツやレモングラスといったスパイスを使って肉を煮込むなど、時間をかける料理が多いです。
 私自身も料理が好きで、パスタを食べたいと思えばパスタを作り、肉まんを食べたければ作ります。朝はフレンチトーストも作ります。でも、インドネシア料理はまだ作れません。いつか母の料理作りを見て覚えたいと思っています。
 インドネシアは暑いので、甘いものでエネルギーを蓄えたり、辛いもので刺激を加えたり、塩気が強かったり、油っぽいものが多いです。インドネシアで売られているペットボトルのお茶には、たくさんの砂糖が含まれています。向こうの味は極端なものが多く、日本のようにやわらかい味をしたものはあまりないです。

大学生になるときが人生の転換期でした。

 幼稚園のころは自身のアイデンティティについて何も考えずに遊んでいました。小学生になると同級生から「なぜ名前が長いの? 漢字じゃないの?」と言われ、私自身もマイノリティという感覚は少なからずありました。しかし、家に帰ると親戚をはじめ、人がたくさんいて、毎日がパーティー状態。学校にいるより帰ったときの方が楽しいことが多かったため、窮屈な思いはありませんでした。同級生たちをわが家に誘い家庭環境を見せていくうちに、同級生たちもだんだん慣れていきました。1年生のときは”外国人がいる”という目で見られていましたが、高学年になるにつれてなくなりました。友だちにはイスラム教の断食や、豚肉が食べられないことなど、ごく普通に説明していました。いつの間にか理解してくれて、偏見はありませんでした。給食はウインナーがエビフライに、ハンバーグがカニクリームコロッケになるなど、学校が対応してくれました。

 小学校までは共学で、中高は両親の勧めで女子校へ進学。そして、大学を受験するときに、初めてヒジャブを着けました。これが、私の人生の転換期だと思います。イスラム教の世界において、女性は髪や肌を隠さなければいけないとわかっていましたが、日本で育っているためヒジャブを着けるタイミングを見つけられず、勇気がありませんでした。姉が大学に入ると同時に着けたので、私も同じようにしました。始めのうちは、環境の変化に慣れるまで苦労しました。ヒジャブをつけていると、サークル勧誘のチラシを1枚ももらえないこともありました。新入生の花道もザワッとします。姉も体験しており、話は聞いていたので覚悟はできていましたが、やはり驚きは隠せなかったです。悔しいので、2年生のときに新入生の振りをして、自分から無理やりチラシをもらいにいくようなこともしました。

自然に女性らしい振る舞いになりました。

 ヒジャブを着け始めてからは、周りの人からの視線に変化が見えました。また自分自身でも、ヒジャブをしているのに、ガニ股や汚い言葉を使うのはおかしい、と自然に考えるようになり、振る舞いがより女性らしくなっていきました。
 日本の方も着物を着ると自然に姿勢がよくなり、女性らしい振る舞いになります。ヒジャブもそれと同じだと感じています。着けてみないとわからないことですね。
 ヒジャブはムスリムの人たちが身に着けるものだからといって、特別な場所で買うということはありません。私が身につけているヒジャブは、4~5年ほど前にユニクロで購入したものです。気に入っているのでずっと使っていますが、残念ながら今は廃番です。ヒジャブは髪の毛を隠すものなので、それさえクリアしていたら大丈夫。一般的なストールやスカーフでも対応できます。また、ヒジャブの色や素材に決まりはありません。洋服と同じように、自由に色や柄を選ぶことができるのです。

おしゃれをすることでムスリムのイメージを変えたい。

 パジャマのまま外を歩く人はいないのと同じで、ヒジャブはムスリムの女性にとってエチケットです。歩いているだけでも魅力的とされる女性。ヒジャブは、自ら肌や髪を出し、男性に対して過度に魅了させないために、身に付けます。またヒジャブには、女性として尊重されるため、そして男女が互いに倫理を保って共生する社会をつくる役割もあると思っています。
 ヒジャブを着けておしゃれをしてはいけない、ということはありません。男性のためにおしゃれをするのか、自分のためにするのかでまったく違ってきます。もちろん私は後者です。
 少しおしゃれをしたり、清潔な身だしなみにすることによって、ムスリムマイノリティである日本社会において、ムスリムのイメージが変わるのではないかと思っています。ひとりのムスリムとしてどう見られているのかを考えながら、ファッションのコーディネートをしています。
 こうした考えをプロジェクトとして発信するために、ちょうどいいツールがインスタグラムでした。企画することや写真が好きなので、作品を見せる場として使っています。作品を通して、誰かにインスピレーションを与え、イスラムに対する考えや、芸術に対する価値観などに何かしらの変化が生まれればと思っています。

東京はクールでカオスな場所です。

 プロジェクトの名前を「Aufa TOKYO」とつけたのは中学生のときです。この名前にした理由は、アパレルのブランド名にはよくそのブランドが生まれた場所が入っていますし、響きがかっこいい!くらいの単純なものです。しかし、「Aufa JAPAN」にしなかったのは、「東京」の方が漢字にしてもアルファベットにしても、クールで説得力があると思ったからです。日本と東京は違う。日本=桜は合いますが、東京=桜はしっくりこない。東京は、クールでちょっと冷たい、何もかもがせわしなくて、情報も人も文化も行きかっているカオスな所だと思っています。東京は好きですが、少し疲れます。インドネシア人の私が、「Aufa JAKARTA」にしなかったのは、単純に選択肢に入っていなかったからです。
 インドネシアへは子どものころから頻繁に行っています。日本で生まれ育ちましたが、インドネシアは自分の国だと思っています。また、日本に対しても同じように自分の国だと感じています。人間関係でいえば、インドネシアの方が落ち着きます。両親がインドネシア人ですし、宗教も同じで生きる価値観が一緒。腹を割って話せて家族を大切にするという点がいいです。
 服を買うのは東京の方が好きです。インドネシアのファッションはエレガント志向なイメージです。日本にはかわいいファッションが多くあり、世界でもめずらしいと思います。私はかわいいファッションが好きです。インドネシアと日本では色の好みも違います。インドネシアは暖かい国ゆえに、暗い配色のスタイルはあまりなく、パステル系や暖色系の配色が多い傾向にあります。ショッキングピンクのヒジャブをする人もいるくらいに、インドネシアでは日本ではあまり見かけない色使いを、たくさんの人がしています。一方で日本は黒、灰色、茶色、などのニュートラルな配色が多く、私はファッションに限らず、インテリアも日本の方が好きです。

わが家は東東京のジャカルタ。

 私の住んでいる足立区は都心に比べると特別なものはありませんが、自然がたくさんあり、人の距離感が近いので過ごしやすいです。インドネシアに近い場所といったら、わが家だと思います。私の母は「綾瀬の母」と呼ばれるほど、たくさんの人に慕われています。わが家は第二のジャカルタとして活気づいています。
 普通の日でも誰かが集まろうといったらパーティーが始まります。ラマダン(断食)のときは、60人ぐらいが集まります。1か月間のラマダンが終わったときはお正月のようなもので、120人ぐらいの方たちが訪れます。昼の部・夜の部と分けて、ちゃんとおもてなしします。インドネシア人に限らず日本人も誘いますので「イスラムのイメージがガラリと変わった。海外の知らなかった文化を知ることができた。次の機会があればまた行きたい」とコメントを毎回いただきます。このようなパーティーを、ほかの場所でも開催できたらいいと思っています。

夢はラーメンのCMに出演すること。

 私は特別な環境の中で育っているので、この生まれた環境を生かして何かをしたい、という使命感が生まれています。インスタントラーメンのCMに出たいと思っているのも、そのひとつです。ムスリムファッションの私がラーメンを食べているだけで、きっといろいろなことが伝わるはずです。いつかコンビニでインスタントラーメンの成分表を見ずに、パッと取って食べてみたいです。皆さんが当たり前のようにしていることを、当たり前にできることが夢です。

Hijab Styling Tutorial by Aufa

BLOOMING EAST女性スタッフが、Aufaさんにムスリムファッション「ヒジャブ」のスタイリングを教えていただきました!

東東京でのサーヴェイ(調査)先を募集しています

BLOOMING EAST×コムアイ サーヴェイ(調査)は、これからも続きます。
今後も東東京を軸にして、多様な価値観や文化と出会いながらプロジェクトを進めていくにあたって、お話を伺わせていただける方や訪問場所についての情報を募集しています。

現在東京に住まわれている(または過去に住んでいたことがある)外国にルーツを持つ方、様々な文化や背景を持つコミュニティ、外国籍の方々と一緒にプロジェクトを実践されている方、関連するイベント情報など、ぜひメール(info@toppingeast.com)にてお寄せください。

みなさまからのご連絡をお待ちしております。

If you have any information of foreigner communities, restaurants and parties in east side Tokyo, please share us by email(info@toppingeast.com).Thank you.

请提供东东京的外国人社区,餐厅,聚会的信息,送我们的email(info@toppingeast.com)。谢谢您的合作。

동도쿄에 있는 외국인 커뮤니티, 레스토랑, 파티 등 정보를 모집합니다.이메일로 문의해주세요. (info@toppingeast.com)