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隅田川道中 「アクセシビリティ作品鑑賞会」実施レポート

文:松木美里(インターン)
撮影:鈴木竜一朗

10月30日(日)、両国駅の改札前、参加者の皆さんと集合しました。
アクセシビリティプログラムは「見えない人、聞こえない人、車いすの人も、みんな一緒に」がコンセプト。
今回は、視覚障がいのある方と同伴の方、計7名が参加してくださいました。

まず、両国リバーセンターのカフェ「CRUISE AND THE CAFE」にて、隅田川道中のコンセプト説明や切腹ピストルズについての紹介と、運営スタッフであり視覚障がい当事者である市川浩明さん(認定NPO法人ことばの道案内 理事長)から作品の楽しみ方についてお話をしてもらいました。
説明会の間、参加者のみなさんが、「どんな音が聞こえてくるのだろう」と、想像を膨らませている様子が印象的でした。
隅田川道中_アクセシビリティプログラム01

その後、両国リバーセンターへ移動。
テラスでは喫茶ランドリーのフリーマーケットが開催されていて、とてもにぎやかでした。そこに、ドンドンと太鼓の振動が近づいてきます。アクセシビリティプログラムに参加しているみなさんはもちろん、テラスにいるすべての人が近づいてくる和楽器の音色の到着を待ちわびています。
そして、切腹ピストルズがリバーセンターの大階段に到着。
演奏に包まれている参加者のみなさんの様子は、障がいを意識させることはありません。その場にいるみんなが、同じように音や振動、高揚感、熱気を楽しんでいました。

隅田川道中_アクセシビリティプログラム02
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一旦演奏が終わり、休憩中には、実際に使っている楽器や衣装を触らせてもらいました。これは触覚による情報保障です。
太鼓の大きさに驚いている人、三味線をめずらしそうに触っている人、和楽器に初めて触れた人、演奏者も知らなかった笛の穴数に注目した人。触ることってこんなに発見があるの?と気づかされるほど、刺激的な時間でした。

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触ること・対話することも音楽の楽しみ方の一つ。参加者も切腹ピストルズのみなさんも良い表情です。

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最後は隊列に入って一緒に練り歩き。演奏を間近に感じながら、切腹ピストルズと一体になりました。

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300mほど歩いたところでお別れ。
隅田川下流へと歩いて行く切腹ピストルズ。遠くなっていく音は離れていく距離を感じさせます。

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終わりには「昔を思い出すような“お祭り”で楽しかった」「もっともっと聞いていたかった」「和楽器っていいな」といった声が。

音・触感・対話・熱気を通じて、同じ場所で同じ音楽を「みんな一緒に」体感するアクセシビリティプログラムになりました。

参加者みなさんの満足そうな表情を見ることができて、とてもうれしく思いました。

◆ 開催概要 ◆

●日時|2022年10月30日(日)12:15~15:00 
●場所|両国リバーセンター
●会場|CRUISE AND THE CAFE(両国リバーセンター)、隅田川テラス
●スケジュール|
 12:15 集合
 12:30 説明会
 13:00 切腹ピストルズ出迎え、練り歩き合流
 14:00 感想会
 15:00 解散
●参加人数|7人
●出演|切腹ピストルズ
●協力|palabra株式会社認定NPO法人ことばの道案内

■出演アーティスト

切腹ピストルズ/せっぷくぴすとるず、又の名を江戸一番隊

全国に隊員二十数名、鉦・三味線・笛・太鼓での神出鬼没の路上演奏を得意とし、町・村おこし、祭、ライブハウス、フェス、デモ、神社仏閣奉納演奏、小学校から介護施設まで、あらゆる場所に現る。地方探索・民俗の研究、農、工商(雪駄・がまぐち・野良着・大工・意匠)、寺子屋、寄席、尺八指導など、隊員各々が展開。人呼んで「江戸時代へ導く装置」、自称「ニホンオオカミの残党」。愛用の袢纏は新潟小千谷片貝の老舗・紺仁製。大紋は丸一。判じ絵は矢鎌志(やかまし)。出囃子は「一丁入り」。
2018年のNYタイムズスクエア、2022年のドバイ万博、シカゴ公演での演奏も話題となった。また近年の豊田利晃監督の映画音楽の提供は好評を得ている。