「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」レポート

古い電化製品を使ってオリジナルな楽器を産み出してきたアーティストの和田永が、あらゆる人を巻き込みながら新たな楽器を創作し、量産し、奏法を編み出し、徐々にオーケストラを形づくっていくプログラム「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」
いよいよ2月14日からみなさんの目の前に表れる今企画は、実は昨年からすでにさまざまな人を巻き込み、進んでいました。

今回の会場となる「TOPPINGEAST」から徒歩圏内にある8mmフィルム機材専門店「レトロ通販」。こちらは今では入手困難となっている8mmフィルム関係の商品を大量に取り扱っているだけでなく、自作のフィルム現像機をお持ちで、何度も伺わせていただきました。貴重な機材を見学させていただき、フィルム現像・映写機内部の仕組みなどについても質問させていただき、今では失われつつある専門的な知識を「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」に種として加えて頂きました。

今回は、普段和田が作品として使用することのないマテリアルのリサーチも積極的に行っています。バッグ・鞄などの革製品のOEM・オーダーメイド製造を行っている「丸ヨ片野製鞄所」。そちらが持つ自動車整備工場を改修した「工房ミュウ」では、牛革・豚革・馬革・ワニ革など、さまざまな種類の革が持つ特徴に実際に触れ、使い込まれた革漉き(すき)機や裁断機なども見学しました。

墨田区の工務店を中心に、町工場オーナーや複数のアーティストなどから結成されるクリエイティブ集団「ポスト工務店BUGHAUS」にも所属する吉成工業さん。その吉成さんとはプロジェクト発足当初から何度となく打ち合わせを重ね、スカイツリーのお膝元で和田永のスケッチを元にした「蟹足電輪塔(蟹の足の形をした電輪塔)」を完成させるべく、いまも制作活動が続いています。

先日は墨田区を飛び越え、足立区花畑団地へ。デザインアンダーグラウンドを主宰する家電蒐集家 松崎順一さんの元へも伺っています。壁一面どころか部屋の全面にラジカセ、ブラウン管テレビやスピーカー類がうずだかく積まれたファクトリー。そこで邂逅を果たした家電演奏家和田永と家電蒐集家松崎順一さんは、同じマテリアルを扱いながら、異なるアプローチをとるお互いの活動に触れ、それらが今回の「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」の中では、相乗効果を生み出しながら新たな風景となって現れることでしょう!

さまざまな人々とともに、さまざまな化学変化を起こしていく「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」。日々刻々と進化するこのプログラムへ、ぜひ足をお運びください。

  • 和田 永

    1987年東京生まれ。物心ついた頃に、ブラウン管テレビが埋め込まれた巨大な蟹の足の塔がそびえ立っている場所で、音楽の祭典が待っていると確信する。しかしある時、地球にはそんな場所はないと友人に教えられ、自分でつくるしかないと今に至る。大学在籍中よりアーティスト/ミュージシャンとして音楽と美術の間の領域で活動を開始。オープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するバンド『Open Reel Ensemble』を結成してライブ活動を展開する傍ら、ブラウン管テレビを楽器として演奏するパフォーマンス『Braun Tube Jazz Band』にて第13回メディア芸術祭アート部門優秀賞を受賞。各国でライブや展示活動を展開。ISSEY MIYAKEのパリコレクションでは、現在までに7回に渡り音楽を担当している。2015年よりあらゆる人々を巻き込みながら古い電化製品を電子楽器として蘇生させ合奏する祭典を目指すプロジェクト『エレクトロニコス・ファンタスティコス!』を始動させて取り組む。そんな場所はないと教えてくれた友人に最近偶然再会。まだそんなことやってるのかと驚嘆される。