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隅田川回向(隅田川怒涛2023)

※写真は、「隅田川道中」切腹ピストルズによる練り歩き終着点、勝鬨橋にて(撮影:高田洋三)

「隅田川回向」開催によせて

 

トッピングイーストではこれまでに、隅田川の南北約10kmを舞台にした芸術祭 Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13「隅田川怒涛」を、緊急事態宣言真っ只中の2021年春と夏に、そしてオンライン開催が中心だったその「隅田川怒涛」のリベンジとして「隅田川道中」を、昨年2022年の秋に実施しました。
 

隅田川怒涛

東京スカイツリー天望デッキより放送「天空の黎明」5時間全長版

 
毎年恒例となりつつある隅田川を舞台としたアートプログラムの3作目は、今年100年という節目を迎える関東大震災をテーマに、「隅田川回向」と題して実施します。
 
 
現在の東京の姿は、関東大震災からの復興計画を礎に作られています。道路や公園、川にかかるいくつもの橋も、東京の4割以上が焼失してしまったあと、次に起きる災害の被害をできうる限り最小限に食い止めようとする願いが込められ、今にいきています。
 
昨年10月末に開催した「隅田川道中」では、切腹ピストルズによる隅田川全長23.5kmの練り歩きを屋台骨に、新たな祭りによるコロナ禍からの復興を目指し、ズシリと響く雄大な和太鼓と鉦の音で隅田川に集う約2万人近い方々と出会うことができました。
 

隅田川道中

練り歩き「道中」プログラム 実施レポート
遊覧体験「渡し」プログラム 一日目 「言葉の川を旅する」実施レポート
遊覧体験「渡し」プログラム 二日目 「ひと雫の私であり続けるために」実施レポート

 
隅田川流域は、1923年の関東大震災、1944〜45年の空襲による戦災で2度にわたって甚大な被害を受けました。その後も高度成長期には水質汚染によって都市の裏側として扱われてしまいましたが、テラス整備によって徐々に地域住民の憩いの場として親しまれるようになりました。2020年代初頭を襲ったパンデミックからの回復を願う場を、「隅田川怒涛」「隅田川道中」という形でこの地でドドン!と実施することができ、大きな喜びを感じました。
 
 
今作で扱う関東大震災では、多くの死者・被災者を出した一方で、フェイクやデマなども飛び交いました。当時は、第一次大戦と第二次大戦に挟まれていた世界的にも激動の混乱期でもあります。100年後の怒涛の現代に生きる我々が、過去の出来事から学べることがまだまだたくさんあると考えています。
 
生きていない時代の出来事を想像することは容易ではありませんが、音楽や芸術表現を用いることによって個人個人が身近に、かつ深く沁み入るように当時の感情や感覚に触れることができると確信します。そして、そのことを真っ直ぐに伝えたいのは、これからの若い世代です。
 
プログラムの実施日は10月29日。
会場や内容の詳細は、改めてお知らせします。
 
 

2023年9月1日 NPO法人トッピングイースト理事長 清宮陵一